本日は「他院修正」下顎セットバック(下顎歯槽部前方分節骨切り後退術)でした。
他院修正をする場合にはいくつかの難所があります。今回は、切開線の設定と剥離を進める層の決定が難しかったので、画像とともに比較をしてみます。
まずは他院修正の場合を画像で見てみましょう。
写真ではお口の中の粘膜の最も浅い層だけを切離(切開)していますが、この写真のように瘢痕組織(手術をしたことがある場合や、怪我をした場合にできる特殊な組織です。)と筋肉の層が絡み合ってしまっています。以前の手術の時の縫合により、オトガイ筋や口輪筋が粘膜と共に絡み合って治癒していますね。
そこで、口輪筋を外側に移動して、オトガイ筋と下唇下制筋、口輪筋を分けながら(分離)、もう少し深い部分にまで剥離を進めます。
2回目の手術となると、一般的な人体解剖の状態とは異なる状態になっているので、通常通りの切開、剥離を行って、手術を進めると神経の損傷や筋肉の損傷、大量の出血につながります。
他院で行った修正手術をする際の気をつけなければならないポイントです。
では、一般的な手術野ではどの様に見えるのでしょうか?
ご覧の通り、かなり綺麗で整理整頓されています。口輪筋、下唇下制筋、口角下制筋の下にオトガイ筋が見えています。解剖学の教科書のとおりです。人体の不思議ですね。
粘膜の切開に続いて、筋層を明示して剥離しています。口輪筋、オトガイ筋、下唇下制筋、おとがい孔から出てきたオトガイ神経繊維の一部も確認できます。
修正手術の時とは違い、それぞれの組織がはっきりとわかるので、無駄に傷つけることなく、手術を進めることができます。
そして、手術を行う骨まで剥離を行い、綺麗な骨の面を露出させるのです。
このように他院修正の場合、少しの工夫と注意が必要です。
手術は、患者様が怖くないように意識のないうちに始まって、意識のないうちに終わる特殊な麻酔を、麻酔科の先生が手術中は手術中は一時も離れる事なく、全身の管理をして下さいます。
知らないうちに全てが終わります。
麻酔科ドクターの完璧な全身管理の賜物です。
手術中もずっと一瞬も目を離すことなく全身管理をしてくれるので安心して手術を受けて頂くことができます。