極端な出っ歯の改善- 出っ歯セットバック手術
出っ歯セットバック手術のプラン
上アゴが骨ごと前に出ている場合
少々の出っ歯であれば、愛嬌のあるお顔立ちに見えますが、程度が強くなれば嫌味っぽい顔(漫画ドラえもんの登場人物"すねお"の口元)に見られますし、特に笑った際のお口元が審美性を欠く事になります。
上アゴが骨ごと前に出ている状態、いわゆる出っ歯の治療は、歯並びの矯正だけでは完璧な美しさは得られません。
上アゴの骨を後方に移動させるだけで、理想のエステティックラインに形成します。
骨格性出っ歯改善、上顎手術の種類
上顎の手術
上顎の改善は大きく分けて、前に出す手術(前方移動)と後ろに下げる(後方移動)があります。
前に出す手術にはLe Fort(ルフォー)型骨切り、前進術。後ろに下げる手術には上顎歯槽骨分節骨切り手術(Wassmund Wunderer Bell)があります。最近ではルフォー型骨切り手術も、CTによるシミュレーションや光学模型を用いたシミュレーション手術をおこなうことで、後方移動や上方移動などをおこなえるようになりました。
Le Fort(ルフォー)型骨切り、前進術で最も障害となる解剖学的な構造は、翼突静脈叢と下行口蓋動脈です。術前の検査にて下行口蓋動脈の位置を確認し、光学模型に着色した血管模型を挿入しシミュレーション手術をおこない、安全な手術をおこなっています。
全上顎骨の移動には「LeFortⅠ型骨切り術」
鼻上顎複合体移動には「LeFortⅡ型骨切り術」
眼窩、鼻、上顎複合体移動には「LeFortⅢ型骨切り術」があります。
口腔機能(かみ合わせ、嚥下、咀嚼)と顔面形態(見た目、美しさ、eLine)の融合を図ることが最も重要です。骨切り骨片の移動範囲や移動距離、移動方向、上下、左右、傾きと咬合高径(かみ合わせの高さ)を考えて、下顎との同時手術、併用手術も検討しています。
この方法は1962年にドクターObwegeser先生により上顎前方移動術としての手術術式が確立された方法です。現在は、オシレーティング骨のこぎり、ピエゾサージェリー、超音波切削器具による骨切りとミニプレートを使用した可動骨片の固定、骨接合、成長増殖因子の局所投与による骨癒合時間の短縮により、あと戻り対策がなされ、安全な手術と骨移植が不要になりました。
この手術では、翼突静脈叢ならびに顎動脈、顔面動脈の損傷に細心の注意が必要です。咬合、顎関節、整容治療を同時におこなうためには、歯科医学、口腔外科学、顎顔面外科学、美容外科学の統合的な知識と技術、経験が必要な手術と言えます。
少し難しい話になりますが、骨切りによる歯の神経(歯髄神経)の断裂は、骨切り直後から側副路で保持され、歯髄内は生活しています。つまり、歯の神経は生きたまま手術ができます。また、有髄神経はWaller変性を生じますが、徐々に再生し、正常知覚に回復するとさえています。
本手術法のメリット
- 適応範囲が広い
- 手術操作を習得すれば、簡単であり、確実な結果が得られる
- 歯や軟組織の損傷がない
適応症の一例
- 上顎前突症状(出っ歯、ごぼ口)に対する後方移動は5mm程度→嚙み合わせの手術
- 上顎歯列弓の狭窄に対する歯列弓幅径の拡大→嚙み合わせの手術
- 鋏状咬合に対しては上顎歯列弓幅径の縮小→嚙み合わせの手術
上顎左右非対称症例に対しては回転が可能であるが、単なる嚙み合わせとしての上顎の異常か、見た目としての上顎の異常かを、術者に判断することが求められる。
→ 症例によっては見た目の手術として適応できる。
上顎後退症状に対する前方移動術
→ 見た目の手術ではあるが、唇顎口蓋裂症例のような奇形疾患症状に対する改善手術として適応される。
また、上顎歯槽骨分節骨切り手術(Wassmund、 Wunderer 、Bell)では副鼻腔の広さ、上顎洞内の隔壁の有無、上顎洞粘膜の位置や肥厚状態などを考慮することが重要です。カンファークリニックでは、安全に手術がおこなえる前方移動量並びに後方移動範囲を決定することで、術中の組織損傷や術後の神経麻痺を回避し、安全な手術に努めています。
後方移動量は20mm以上の移動が可能です。また、前方移動量も25mm以上の移動が可能です。前方移動の場合、鼻翼の拡大、鼻柱の湾曲、鼻孔の上方変位を回避する必要があります。
分節骨切り手術は後方移動のための移動スペースとしての隙間が必要なため、抜歯と歯槽部の歯槽骨切除が必要です。
上顎左右第1小臼歯と同部歯槽骨を切除し後方移動のための隙間を創ります。できたすき間を利用して前歯6本を一塊とした歯槽骨ブロックを後方移動させ、PLLA吸収性プレート、骨折用ステンレスワイヤー、チタンプレートで固定します。位置決めで大切なことは、鼻柱との高さや角度、鼻翼形態(小鼻の広がり)歯軸傾斜、後方移動量、ほうれい線、口唇形態、下顎歯軸傾斜、咬合関係、下顎中切歯、側切歯、犬歯(特に犬歯誘導となる場合の側方移動による干渉形態、に注意が必要です。通常の歯列矯正と比較されることが多い治療方法、術式ですが、全く異なる治療法であり、治療結果が全く異なり、治療目的やコンセプトが全く異なります。
この点、誤解が生じないようにご説明をすると、歯列矯正治療のための抜歯とは異なります。歯列矯正の際におこなわれる抜歯は、歯を並べる際に必要なすき間を作るためにおこなわれる抜歯です。つまり歯の並びのための抜歯であり、骨の隙間はできませんから、後方に移動することはできません。したがって、骨ごと後ろに下げることを望まれる患者様には歯列矯正治療は適応ではありません。そこで近年は、歯列矯正治療においては生体侵襲が少なくなるよう抜歯を回避するための方法として、歯と歯の隙間を創る方法があります。
これは、髪の毛くらいの0,1mmほどの細い切削器具を使用して歯と歯の間に目に見えないほどの隙間を作ります。隣接歯間削合IPR(Inter Proximal Reduction)をおこない、抜歯を回避することが可能です。患者様の症状やご希望によって、歯列矯正の範囲であれば抜歯をしないで歯並び治療ができるようになりました。これに比較し、上顎歯槽骨分節骨切り後退術、いわゆるセットバック手術でおこなう抜歯は、骨片の後方移動による、顔面の形成のためにおこなう抜歯であり、抜歯は歯槽部の歯槽骨切除に伴う歯の喪失です。歯列矯正治療において、患者様のみならず、矯正歯科医師、矯正歯科専門医ですら、矯正歯科治療における抜歯と上顎歯槽骨分節骨切り後退術による抜歯を混同しているため、患者様が混乱、誤解をするのも無理はありません。
歯列矯正治療でおこなえる術前術後の変化は顔面の変化ではなく、歯並びです。しかも抜歯によって、歯軸傾斜がなくなり、笑った時に見える歯並びのバランスが悪くなる場合やガミースマイル症状が悪化する場合もあります。さらに顔面の変化が生じたとしてもそれは所詮、歯並び治療によってたまたま生じた副産物でしかありません。歯列矯正治療はとても良い治療方法ですが、患者様の症状や状態、ご希望に応じた治療方法を選択する時代であると思います。歯並び治療で改善できる症状と、セットバック手術で改善できる症状は違います。カンファークリニックでは、症状、状態、ご希望に応じた治療方法を提案しています。
施術内容
日本人を含めたアジア人の場合、見た目の改善のために上顎骨を前方に移動することは全体の2割程度です。口唇口蓋裂(三ツ口)などの先天性奇形に分類される疾患の場合と、美容目的、整容目的の手術は大きく異なります。
ここで、矯正歯科治療の補足的な手術では、下顎前突症状の改善のために、下顎を後方移動させるのですが、下顎だけでは後方移動量が足りない場合に、上顎を少し前方に移動することで、下顎の移動制限のバランスをとる場合があります。また、顎変形症手術の診断を得た場合は、口唇口蓋裂や全身的な症候性疾患に伴う、上顎骨の劣成長のために上顎を前方に牽引する場合がありますが、見た目を改善するためにおこなう美容外科手術においては、適切な手術ではありありません。
カンファークリニックを訪れる9割以上の患者様がご希望している手術は、上顎を後方に移動させる手術です。後方移動術の場合でも、ルフォー型骨切りをおこない後方移動させる方法がありますが、ルフォー型骨切りをおこない、後方移動をおこなうと、臼歯部の咬合関係が変化し、かみ合わせのバランスが崩れることが多く、絶対的に歯並び治療としての矯正歯科治療が必要になります。このような治療方針は、患者様の希望に沿った手術結果を得るための対価コスト(手術費用、治療総額)だけでなく、オーバーサージェリー(行き過ぎた治療、行き過ぎた手術、やりすぎ手術、失敗)となります。
したがって分節骨切り手術が適応となる場合が多くなります。分節骨切り手術がなぜ浸透していないのか、手術書には掲載されている術式でありながら、あまり利用されていない理由には、抜歯が必要なことがあげられます。
上顎の審査
上顎骨の改善治療には、上顎前突、骨格性出っ歯、二級咬合、上下のかみ合わせ、歯の軸傾斜、3級咬合、上下歯軸傾斜の角度、鼻腔底基部、ナジオン、ポゴニオン間の距離、角度、E-line(イーライン)、Aesthetic lineの審査を行います。
鼻と顎を結ぶEライン
Eラインは鼻とあごを結ぶラインのことで、横顔のバランスを見るのに用いられています。
Eラインが直線で、Eライン上に上下の唇があるのが理想とされており、美人顔の条件ともいわれています。上顎骨が原因の場合には、セットバック手術を適応することにより、骨格性出っ歯の改善をおこない、上顎前突症状を改善することでお口もと、口唇形態が整います。
顔面形態のバランスの良い、鼻、口もと、あごを組み合わさり、バランスのよい美しいお顔、お口もとを目指すことができます。当院では、上顎手術としてLeFort型骨切り手術、上顎歯槽骨分節骨切り手術、鼻尖形成術・耳介軟骨移植・鼻中隔延長、オトガイ形成、Vライン形成など、鼻と顎と口もとのバランスに配慮した施術を行っています。
出っ歯セットバック手術とは
出っ歯セットバック手術は、美しさに重点をおきながら、かみ合わせも整えられる手術方法です。
矯正では通常1~2年がかかりますが、出っ歯セットバック手術は、60分で噛み合わせと見た目の両方の出っ歯を治すことがでる施術です。
横顔は、額~鼻~口元~顎先にかけてのバランスが大切です。 理想的な横顔を表す審美三角を基に、お一人お一人に合わせて診断、デザインをしています。 下顎自体が引っ込んでいる場合には、下顎分節骨切り術で下の歯を前方に移動させることも可能です。 術前にはセファログラム分析(頭部X線規格写。真)、歯列模型による詳細な治療方針を立てています。
上の歯が前突している方は、下顎も出ていたり、前歯どうしのかみ合わせが合っていない場合、顎(あご)の長さも同時に気になられる方が多いのですが、 その場合には上下顎を同時に後退させることやアゴの長さを同時に短くすることも可能です。
メリット | ① 手術が短時間で終了(60分)する。 ② 入院の必要がない。 ③ 奥歯の状態は変化しないため、手術直後より食事が出来る。 |
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デメリット | ① 奥歯のかみ合わせが、矯正歯科学的な基準咬合に変化しない。 ② 虫歯や歯槽膿漏に関係なく、骨を後ろに下げるための抜歯が必要。 ③ 歯の角度と骨の角度の調整が難しい。 |
出っ歯セットバック手術のPOINT
- 上下の歯をワイヤーで固定する「顎間固定」の必要はありません
- 日帰り手術のため、入院は不要です
- 翌日より通常のお食事が召し上がれます
- 口の中からの施術ですので、傷が全く顔に残らない画期的な手術方法です
① Le FortⅠ型骨切り術
上顎の形態改善、咬合機能の維持、向上を同時に図るための上顎骨体の手術である。
骨片の移動により、顔貌、外鼻形態、E-Lineの改善をおこなうことができます。
カンファークリニックでは、上顎手術としてLeFort型骨切り手術、上顎歯槽骨分節骨切り手術、鼻尖形成術・耳介軟骨移植・鼻中隔延長、オトガイ形成、Vライン形成など、鼻と顎と口もとのバランスに配慮した施術を行っています。顔面形態は個人差があり、目、鼻、顎と口もとの改善すべき点が組み合わされています。術式の選択は経験を積んだ医師の判断を参考にして頂き、カウンセリングで一緒に検討しています。
Le FortⅠ型骨切り術の概要
施術時間 | 約60分 |
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治療期間 | 日帰り可能な手術です。 |
麻酔 | 全身麻酔 |
腫れ具合 | ★★★☆☆ |
ダウンタイム | 大まかな腫れや内出血が引いてくるまでに、2~3週間程度です。 組織が完全に落ち着くまでは3ヶ月~6ヶ月程度です。 ※いずれも個人差があります。 |
抜糸 | 溶ける糸を使用するため抜糸不要です。 |
料金(税抜)
Le FortⅠ型骨切り術 2,500,000円(税抜)
Le FortⅠ型骨切り術がおすすめの方
- 出っ歯が気になる
- 口が閉じにくい
- 歯がいつも見えている
- 顔に立体感をだしたい
- 鼻と人中とバランスを取りたい
- 梅干ししわがある
- ガミースマイル
② 上顎分節骨切り術
上顎の形態改善、咬合機能の維持、向上を同時に図るための上顎骨歯槽骨部分の手術です。
歯列矯正では通常1~2年がかかるが、上顎分節骨切り術は、1日で出っ歯を治すことができる施術です。
ここで、出っ歯を抜歯して歯列矯正のみで引っ込めようとした場合、抜歯した隙間に前歯を倒す方法をおこなうため、セットバック手術と似ているように思い、比較をされがちであるが、結果、効果は全く異なる。抜歯して歯列矯正で歯を内側に倒すと、横顔のラインに対する歯の角度(歯軸傾斜)がなくなり、歯、歯槽骨、上顎骨、顔面骨のバランスが悪くなります。分節骨切り術では、歯槽骨切除をおこない上顎骨・下顎骨の最前部を後方に移動させるので、横顔のE-Lineイーラインに対する歯の角度はは自然な角度を保ち、顔面に対する自然な口もとになります。
上顎分節骨切り術の概要
施術時間 | 約60分 |
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治療期間 | 日帰り可能な手術です。 |
麻酔 | 全身麻酔 |
腫れ具合 | ★★★☆☆ |
ダウンタイム | 大まかな腫れや内出血が引いてくるまでに、2~3週間程度です。 組織が完全に落ち着くまでは3ヶ月~6ヶ月程度です。 ※いずれも個人差があります。 |
抜糸 | 溶ける糸を使用するため抜糸不要です。 |
料金(税抜)
上顎分節骨切り術 1,500,000円(税抜)
上顎分節骨切り術がおすすめの方
- 骨格性出っ歯
- 骨格性上顎前突
- 上下顎前突
- 口ごぼ症状
- 梅干ししわ
- 笑った時に見える歯茎を治したい方
- ガミースマイル
- 突き出た口もとの改善
- 歯列矯正をしないで前歯をひっこめたい
- E-Lineを整えたい