ガミースマイル症状の改善のための
上唇挙筋群短縮10点留め治療
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上唇挙筋群短縮10点留め治療の概要
ガミースマイルとは笑顔の時に、上口唇が大きく挙上し、前歯の歯肉が過剰に(3~4㎜以上)に露出している変形症である。
ガミースマイルの主な原因について
唇が原因
・短い上口唇(唇の厚み)
・薄い上口唇(唇のボリューム)
歯ぐきが原因
・歯肉の過剰な発育
・歯冠周囲歯肉の角化程度
・歯冠歯肉比
口腔粘膜が原因
・口腔前庭の深度
・口腔前庭粘膜の過剰伸展
筋肉が原因
・唇の過剰な運動(上唇を持ち上げる筋肉の過剰な動き)
・表情筋の緊張(唇周囲の筋肉の過剰な動き)
・上唇挙筋群の過剰拘縮(上の唇の引き上げる筋肉の過剰な動き)
筋肉が原因
・唇の過剰な運動(上唇を持ち上げる筋肉の過剰な動き)
・表情筋の緊張(唇周囲の筋肉の過剰な動き)
・上唇挙筋群の過剰拘縮(上の唇の引き上げる筋肉の過剰な動き)
歯が原因
・歯の萌出方向の異常(歯並びや噛み合わせ、歯の角度、歯の大きさ)
骨が原因
・前歯の歯槽骨の異常(歯を支える骨の位置異常→長さ、大きさ、幅、ずれ)
・上顎の過剰な発育(顎の骨の位置異常→骨の長さ、上下的な位置、水平的な位置)
かみ合わせが原因
・上下顎水平的、垂直的顎間関係異常(かみ合わせの異常)
などが複雑に絡んでいる。
診断に際しては、正貌、側部の写真、動的状態における可動状態、セファログラムによる骨分析も有益である。
頭蓋骨に対する顎骨の位置関係、顎位、顎関節運動、上下顎前突状態を顔面軟組織、特に口唇の運動状態を観察することがより良い治療結果を導く。
ガミースマイルに対する外科療法としての上唇挙筋群の短縮術は、上唇挙筋群の過剰運動を抑える目的でおこなっている半永久的に効果のある術式である。
カンファークリニックでは、患者様の症状や状態を診察させて頂き、治療方法を含めた患者様のご希望に合わせて上唇小帯切離形成移動術、口腔前庭縮小手術、上唇挙筋群短縮術など、各種の治療方法を使い分けている。
治療前 | 治療後 |
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適応する患者様の症状
口唇の静止時と可動時の評価をおこなう。静止時においては、歯の大きさ(歯周ポケットの深さ)歯軸傾斜(歯の傾き)、顎骨(顎の骨)、歯槽骨の位置関係(歯を支える骨)、口腔前庭の深さ(唇の裏側の粘膜の深さ)、口唇の厚みや長さ(唇の形)、上下顎の水平的、垂直的な顎間関係(かみあわせ)を診察する。
可動時においては、上口唇の反転状態(唇のめくれ具合)、歯肉の露出の程度(歯ぐきの状態)、上唇挙筋群それぞれの収縮程度、弛緩程度(筋肉の動き具合)を診察する。表情筋の一群としての口唇周囲筋の相互の運動や可動性は、機能性と関連して動いている。
手術後の患者様へ日常生活上の副作用、副反応を生じさせないで、口角挙上時の歯肉の露出の改善と、自然な笑顔の向上を目指し、患者様お一人お一人の症状や状態、ご希望に応じて満足な治療結果を感じて頂くための手術の工夫をおこなっている。
筋肉が原因でない場合や前庭粘膜が長い場合などは他の術式の提案をおこなっている。
上唇挙筋群の短縮手術を適応する患者様は、症状に応じた術式の選択、上唇挙筋群それぞれの筋層の剥離、支持靭帯の保持や剥離を確実におこない、さらに縫合に使用する針の大きさや糸の太さ、糸の組成を選択している。術者の知識と技術、経験が大切なポイントである。
上唇挙筋群短縮10点留め治療に必要な人体解剖、
各筋肉の走行、支配神経
上唇挙筋群には、上唇鼻翼挙筋、大頬骨筋、小頬骨筋、上唇挙筋、口角挙筋がある。
これらの筋肉はガミースマイルを引き起こす主要な筋肉である。
1. 上唇挙筋
眼輪筋に被われた筋肉。眼窩下縁の直下で、上顎骨体部前面と頬骨から始まり、四角形となって下方に向かい、口輪筋と合流し一部は上唇に入り、皮膚と口腔粘膜につく。このような形から四角筋とも呼ばれている。上唇を持ち上げ、ほうれい線に作用する。口角下制筋が拮抗筋である。
2. 上唇鼻翼挙筋
内眼角近くの上顎骨骨体前頭突起から起こる。眼輪筋の一部が主要な筋層となって始まり、上唇、鼻翼、外鼻孔の縁に付着し上唇挙筋、小頬骨筋と連動して動く。上唇を上方向に持ち上げ、唇と鼻と眼が連動するような動きを行う。口角下制筋が拮抗筋である。
3. 大頬骨筋
頬骨弓の外面、側頭頬骨縫合周囲組織から始まって前下方に向かい、上口唇、口角、下口唇に付着する。上の唇を上方向に持ち上げる。この筋肉が過剰運動するとガミースマイル(笑った時に歯ぐきが見える)症状が出現する。
4. 小頬骨筋
眼輪筋に被われた頬骨外面から始まって前下方に向かう。上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋、小頬骨筋は交錯しながら上唇につながり、その皮膚に付着する。3つの筋肉を合わせて上唇方形筋と呼ばれる。
5. 口角挙筋(犬歯筋)
ひきつった笑いや作り笑いと呼ばれるときは主にこの筋肉が働く。自然の笑顔の場合は、上唇挙筋群のすべてかバランスよく働くことが多い。
治療計画
治療目的は、上唇挙筋群の過剰運動を抑制し、ガミースマイル症状を緩和することである。笑った時の上唇挙筋群の可動域を縮小し、笑った時に歯ぐきの露出が減り、しかも笑顔が不自然にならない調和のとれた結果を目指している。
上唇挙筋群も他の表情筋、顔面筋と同じように、相互の筋層が絡み合って形成されている。治療前の患者様には、できるだけ過剰な動きをしてもらい、それぞれの筋肉の長さ、薄さ、支持靭帯や脂肪層との距離、絡み方、筋層の伸展度、伸縮性、ほうれい線の深さやガミースマイルの程度の関連性を診察する。症状に応じて手術後の表情が自然になるように、可能な範囲ではあるが、鼻翼縮小手術やリップリフトを併用(無料)している。
副作用
眼輪筋をアンカーにしたガミースマイル様の挙上運動が強い場合には、手術後の再発率が高い。口輪筋の動きが鼻中隔下制筋と連動する動きが強い場合、再発率が高い。左右の動きに連動した縫合をおこなわなかった場合には、上唇の動きが左右非対称となる。
術後の瘢痕拘縮を想定した縫合をおこなわない場合、上口唇の平たん化、Cカールの消失、人中の消失、鼻下口唇距離(鼻の下が伸びる)の延長をきたす。過剰な縫合は、外鼻形態の変形、鼻中隔の延長、口唇の閉鎖不全、口腔前庭の食物残渣の停滞、よだれなどの機能不全を引き起こす。飲水、食事、会話の時に左右非対称な動きを生じることがある。その他、口角下垂、鼻柱下垂、赤唇の内転、鼻下赤唇間の延長、ほうれい線の出現などの注意が必要である。
併用療法、関連領域
治療方法にはBTX注入療法、矯正歯科学的治療、歯冠長延長術、口腔前庭縮小手術、歯肉切除術、上唇小帯切離形成移動術、耳介軟骨移植術、上顎骨短縮術などがある。
口腔前庭が深いため、上唇の可動域が大きい場合
① ボツリヌストキシン注射
上唇を上げる筋肉が強い場合は筋肉の動きを抑える、ボツリヌストキシン注射も有効な手段です。
ボツリヌストキシンは商品名であり、正確にはボツリヌストキシン注射またはBTX注射が正確な名称です。
トキシン療法とも呼ばれています。若返り治療などに使われる注射です。
神経から筋肉への信号を遮断して、自力では筋肉が動かないようにすることができます。
効果は3~6ヶ月程度です。
継続的に注射をして効果を保つことができますが、現実的には、結婚式や同窓会、講演会など、一時的にガミースマイルを改善したい場合や、治療したらどのようになるか試してみたいという、テストドライブ、生体シミュレーションとして有効な治療といえます。
33Gまたは34Gの極細針を使用して、原因となっている上唇挙筋群に注射をおこなう処置です。
表面麻酔もおこないますから、痛みは全く感じません。
上唇挙筋群短縮10点留め治療の流れ
1. 上唇挙筋群短縮量のデザイン
上唇挙筋群は近心より、上唇鼻翼挙筋、小頬骨筋、上唇挙筋(眼窩下筋)、大頬骨筋、口角挙筋があり、ガミースマイルの原因筋となる。左右のほうれい線のあたりに両人差し指を添えて、患者様に口角の挙上と吸啜の動作をおこなってもらい、それぞれの筋肉の可動状態を触診し、筋肉の緊張度合い、収縮度合いを確認する。
口裂に開口器を装着し、上唇小帯、頬小帯の位置を確認したのち、開口器を用いて口腔粘膜を伸展させると、それぞれの筋肉の付着状態や筋層が確認できる。
2. 筋層の切離部位と粘膜の切除部位のマーキング
上唇挙筋群の短縮術における安全な領域を図示する。上唇挙筋(眼窩下筋、四角筋)、小頬骨筋、上唇鼻翼挙筋、大頬骨筋、口角挙筋が上口唇の口輪筋に付着する。口輪筋に付着する付着位置と歯肉頬移行部、歯肉唇移行部、口唇のドライ&ウェットラインにマーキングをおこなったうえで、可動粘膜と口腔前庭の切除予定位置をマーキングする。
口唇動脈の枝は、指の感覚で拍動を感じることができるので、術野の設定の際にマーキングをおこなう。手術中に口唇動脈を傷つけると、大量の出血をきたし、手術どころではなくなるので細心の注意が必要である。大頬骨筋や口角挙筋の切離具合によって、口角挙上の程度を変化させることが出来る。
3. 基準点の確認と短縮デザイン
鼻翼基部、梨状孔縁を図示する。これは、術後の外鼻形態、鼻翼の幅、鼻孔の基準点となる。短縮部位の目安は鼻翼外側の浅層(上唇鼻翼挙筋)と深層(上唇挙筋)ならびに、鼻唇溝中央の浅層(小頬骨筋)である。鼻翼基部最下端から10㎜外側の10㎜下方が小頬骨筋の位置としている。
4. 基準点と筋肉の動きの確認
術者の人差し指を両鼻翼外側に置いた状態で、患者様にできるだけ歯肉を露出してもらう。鼻翼外側10㎜と下方10㎜の位置左右2ヵ所に、もっとも筋肉の動きが強い部位を触知できる。(上唇挙筋)その点からさらに10㎜外側に、左右2ヵ所にマーキングを行う。(小頬骨筋)マーキング部位と筋肉の動きが強い部分が一致しているかどうかを確認する。切離位置と、切除位置が決定したら、麻酔操作に移る。
5. 冷罨法と表面麻酔
手術部位は冷パックを用いて良く冷却する。内出血の予防と疼痛刺激の減弱効果が得られる。表面麻酔は、クリームタイプとシールタイプを併用している。表面麻酔が完全に奏功したことを確認したのち、局所麻酔を併用する。この際、表面麻酔が完璧に奏功しているため、針の刺入の感覚すら感じない。全くの無痛麻酔を実現している。
6. 消毒
術野の消毒を行う。
7. 切開、剥離
15番メスまたはエルマン社製サージトロン(電気メス)を用いて、左右上顎犬歯間の歯肉唇粘膜移行部からデザインに沿って小切開をおこなう。歯肉の一部は骨膜を温存しながら縫い代を残して、骨膜上に歯肉を剥離する。頬小帯の位置を確認し、粘膜表層のみにメスを進める。赤唇部直下のDry & Wetラインよりも、粘膜側にメスをすすめて粘膜下をそぎながら剥離をおこない、露出した小唾液腺は可及的に温存する。
8. 粘膜の切除と上唇挙筋群の明示
紡錘状の粘膜を切離したのち、切離位置から粘膜剥離子を挿入し、粘膜下組織と上唇挙筋群を分離しながら粘膜を切除する、この際にも多数の小唾液腺が露出するが、可及的に温存する。粘膜下に上唇挙筋(眼窩下筋)、小頬骨筋、上唇鼻翼挙筋、大頬骨筋、口角挙筋並びに口唇動脈、上顎神経の口唇神経束を確認することができる。
粘膜下でガーゼなどを使用し、徒手的に軽く剥離したのち、それぞれの短縮する筋束を確認しながら、短縮量に沿ってメスにて切離する。切離した筋層は粘膜とは明確に分けることができる。歯肉側は同部から骨膜剥離子を用いて骨膜上まで鈍的な剥離をおこなう。
9. 止血
ボスミンガーゼやトラネキサム酸ガーゼで止血をおこなった後、それぞれの筋層を4-0吸収糸で把持する。
10. 口角挙筋の縫合
最初に口角挙筋を縫合する。口角挙筋がガミースマイルの主たる原因筋になっていることはまれであるが、頬小帯の切離と付着位置の移動をおこなうことにより、上唇挙筋群全体としての可動域は狭くなるため、有益である。
11. 大頬骨筋の縫合
次に、大頬骨筋を縫合する。大頬骨筋も口角挙筋と同様にガミースマイルの主たる原因筋になっていることは少ないが、笑顔の時にほうれい線の深度を深めてしまう恐れがあるので、適切な方向と位置に誘導して短縮し、縫縮するこが必要である。無理に留めようとすると、笑顔の時に不自然になるので、注意を要する筋束である。
12. 上唇挙筋の縫合
次に上唇挙筋を縫合する。巷では、上唇挙筋短縮術を本筋束のみを縫合していると勘違いをしている的外れな記載がインターネット上に溢れている。上唇挙筋は上唇鼻翼挙筋と並び、口腔側から最も浅い層に位置しているため、容易にその存在を確認することが出来る。筋束に縫合糸を挿入し、タッキング予定の歯肉にアンカリングしたのち、患者様には口角の挙上を数度おこなって頂く。
糸の固定方向や強度、笑顔の状態、鼻翼形態、口角挙上時の可動性と自然感を確認する。また、眼輪筋と連なるため、下眼瞼の可動状況も把握する。
13. 小頬骨筋の縫合
続いて小頬骨筋を縫合する。上唇鼻翼挙筋、上唇挙筋(四角筋、眼窩下筋)とともに動く上唇方形筋である。ほうれい線の深度に注意しながら縫合方向、固定方向、短縮強度を調整する。小さな筋束なので、上唇方形筋として一塊の縫合をおこない、補助的に上唇鼻翼挙筋や上唇挙筋を縫合する方法もある。
14. 上唇鼻翼挙筋の縫合
最後に上唇鼻翼挙筋を縫合する。鼻翼形態が変形しない様に短縮程度を調整し、縫合方向、固定方向も工夫が必要である。上唇鼻翼挙筋と小頬骨筋は口腔側から見た場合は深層になる。上唇挙筋をまたぐ形で縫合するため口唇形態、外鼻形態、人中の形態、Cカールに注意して縫合をおこなう。患者様のご希望に合わせて、鼻翼形態、人中形態、シーカールの同時修正も可能である。
15. 縫合部分の確認
縫合部分全体を概観し、正中の上唇小帯部分は縦方向に縫合をおこなうと、術後の瘢痕拘縮による口唇形態の平たん化の予防になる。
縫合のポイント
・遠心側から近心側に筋束、口腔粘膜を縫合する
・リップリフトを併用することも有益となる
・上唇小帯は線維束が強い場合には、温存して歯肉にアンカリングさせることで、上唇挙筋群の収縮に抵抗する組織として有益である
・口腔粘膜側から観察すると小頬骨筋、上唇鼻翼挙筋は深め、上唇挙筋、口角挙筋は浅めに走行
する
16. 止血の確認
止血を確認し、縫合状態を再度確認する。
17. 冷罨法
処置後の内出血の予防を図る。その後、テーピング、圧迫固定をおこなう。
18. 患者様に手術後の状態の確認
手術直後の状態を鏡で確認をして頂きます。
止血の状態、痛み、腫れ具合、唇の動き(麻酔が効いている限定的な範囲です)口腔前庭の縮小状態、上唇挙筋の短縮状態、鼻翼(小鼻)の変形の有無、口唇の変形の有無など仕上がり全般の確認をおこなう。
手術後のケア
1. 唾液に血が混じる程度の出血があります
2. 手術後、2、3日後が腫れのピークです
3. 手術後は上唇のあたりを冷やしていただくと腫れが最小限になります
4. 傷口を触ったり、めくったり、観察しないでください
5. 手術直後の1週間は、唇のまわりが腫れます
6. 縫合糸は溶ける糸です。抜糸は不要です
7. 手術後に一時的に上の唇のシビレが出る場合があります
8. 手術後は1週間の禁煙をお願いします
上唇挙筋群短縮10点留め治療の料金
料金(税抜)
上唇挙筋群短縮術 350,000円