あご
【V-line形成(垂直骨切り/スクエアボックス骨切り術)】
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V-line形成の選択肢
代表的な手術法として、下記手術をおこなっています。
本術式は、顎(あご)の幅径を20mm以上細くすることを目的に適応
顎の幅、特に顎先のオトガイ先端が広いと男性的なお顔立ちとなり、コンプレックスの原因となります。また、オトガイの幅径の減少・左右非対称、長さの短縮を同時におこなうことが可能です。
オトガイ領域の垂直骨切りと水平骨切りをおこない、中間の一部の骨片を切除し、オトガイ形態を改善するために適応します。顎の短縮手術である中抜き法を、縦方向に骨切りして中抜きする方法です。この方法により顎先を狭めて小さい顎を創ることができます。単独あるいは水平骨切り術と同時に行なうことが可能です。
また、下顎が小さい場合やフェイスラインがぼやけている場合には、顎を下方向に伸ばして顔全体とのバランスを整えることもできます。下顎角からV-Line形成と併用しておこなえば、フェイスラインが整い、小顔効果がはっきりと現れる施術といえます。
オトガイ垂直骨切り、スクエアボックス骨切り術について
顎先の位置は、横から見た場合の基準はEsthetic-Line(E-Line)がバランスの取れたきれいな形の顎の位置とされています。正面から見た場合は、鼻中隔最下点から口角までの距離と、口角から下顎骨下縁までの距離が等しいとする考え方や、下口唇赤唇縁からオトガイ先端までの距離が、鼻中隔最下点から上口唇の赤唇縁までの距離の2倍とする基準もあります。
また、オトガイ先端の幅として、オトガイ結節間の距離が左右の口角よりも内側とする基準や、目頭(内眼角)の中にオトガイ先端の幅があると望ましいとの考え方があります。
本術式は下顎骨の矮小化のため、下顎骨の下方延長を試み、軟組織のテンティング作用を利用し、正貌、側貌における下顔面の下方延長に適応しています。また、縦方向の中抜きをおこなう場合には、オトガイ幅径を減少させ、一般的に小さい顎と呼ばれるような形態改善に適応しています。垂直骨切りは水平骨切りをおこなったのち、正中部の骨切除をおこなうため水平骨切りの中抜き法を、縦方向として、垂直方向におこなう術式であり、オトガイの形態と幅径を改善する術式です。20mm程度の幅寄せが可能ですが、骨切り後の段差の問題や、可動骨片が小さくなるため、移動骨片の血液供給不足が生じやすく、手術中の粘膜骨膜弁の形成、移動骨片に対する栄養血管の確保と管理や手術後の骨片の固定など、手術後管理に注意が必要です。
手術中の骨切除後に両端の骨片を中央に寄せるため、骨片間の固定のみならず、舌骨上筋群や下唇下制筋群などの処理を上手に行わないと、筋肉組織のたわみがたるみを生じる結果となります。骨切除をおこなわないで下方延長をおこなう場合は、オトガイ(顎)延長術の亜型、変法の位置付けです。手術は全身麻酔または静脈内鎮静法IV-Sで行うことができます。手術時間はおよそ60分です。オトガイ部分を前方、後方に移動させない状態で下方向のみに延長をおこなう場合や、エラ改善と併用したV-Line形成をおこなう場合は、オトガイ・スクエアボックス骨切りを適応しています。
症状によってはシリコンプロテーゼによる改善ができる症状がありますが、人工物を使用することに抵抗がある患者様には、本手術を安心してご検討頂くことができます。カンファークリニックでは骨切り、骨切除、骨片の固定をおこなうため、再発がなく、20mm程度の幅寄せが可能です。
手術前のカウンセリングでは、顎先だけを評価するのではなく、顎全体のバランスや目の大きさや、鼻の幅など顔全体のバランスも見ながら、デザインを行います。
オトガイ垂直骨切り、スクエアボックス骨切り術のポイント |
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オトガイ垂直骨切り、スクエアボックス骨切り術がおすすめの方
- 顎の幅を小さくしたい
- 男性的なお顔を改善したい
- 顎を小さくしたい
- フェイスラインを整えたい
- 顎の存在感を少なくしたい
- かわいい顎先に変えたい
- 短い顎を少し長くしたい
オトガイ垂直骨切り、スクエアボックス骨切り術の概要
施術時間 | 約60分 |
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治療期間 | 日帰り |
麻酔 | 全身麻酔または静脈麻酔 |
ダウンタイム | 大まかな腫れや内出血が引いてくるまでに、2~3週間程度です。 組織が完全に落ち着くまでは3ヶ月~6ヶ月程度です。 ※いずれも個人差があります。 |
費用 | 800,000円(税抜) |
オトガイ垂直骨切り、スクエアボックス骨切り術で期待できる効果
- オトガイの幅が小さくなり、女性らしい顎になります
- 矯正歯科治療後など、バランスがしっくりこない、口もとの大きさ、かみ合わせに合った自然な顎先になります
- 顎先が整い、口もとがスッキリした印象になります
- あごの長さの調整ができるので、フェイスラインが整い、柔らかい女性的な印象になります
手術後について
創部の圧迫 | 手術日の翌日までテーピング圧迫をおこないます。手術日の翌日にご自身で除去して頂きます。 |
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術後の通院 | 定期的な通院は不要です。患者様のご希望により、診察をしております。 |
抜糸 | 溶ける糸を使用します。手術後1か月ほどで自然になくなりますので、ご来院は不要です。 |
洗顔 | 圧迫用テーピング部位以外は当日より可能です。 |
入浴 | 軽めの入浴は当日から可能です。シャワーも当日から可能です。 |
メイク | テーピング除去後、手術の翌日から可能です。 |
その他 | 手術後7日間は、喫煙をお控えください。 |
V-line形成 - オトガイ垂直骨切り
オトガイ垂直骨切り術のPOINT
これは2009年に韓国のドクターから発表された方法です。
水平骨切りの中抜き法を、縦方向、垂直方向にしたもので、オトガイの横幅を少なくする方法です。韓国ではアゴのVライン形成と呼ばれています。8~12mm程度の幅寄せをおこないます。また骨切り後に両端の骨片を中央に寄せる際に、アゴ下の筋肉群を上手に処理しないとたわんで突出したり、タルミの原因となるため、注意が必要です。
オトガイを短く、細く希望される場合は、水平・垂直骨切りを同時に施行しています。2個の中抜き骨片を摘出すると、短く、細くなりますが、両端の段差が出来るため、トリミングは欠かせない術中の処理です。
オトガイ垂直骨切り、骨切除術の流れ
1. デザイン
CBCTやオルソパントモグラム、頭部エックス線規格写真などの術前検査によるシミュレーションをもとに、予定骨切り幅を骨上にデザインします。下顎の形態、長さ、幅や、かみ合わせ、歯の状態を診察し、顎先の幅よせ、オトガイの延長に必要な切除範囲を決定します。骨切りラインの設定として、下方に移動する骨片の大きさは、患者様の希望される顎の長さ、細さによって決定します。移動させた骨片が軟組織を伸展またはたるみが生じないよう、手術後に起こる骨膜吸収と軟組織のたわみに抵抗する必要があり、その点を考慮し骨切りラインの設定をおこないます。
2. 麻酔および切開・剥離
手術は全身麻酔あるいは静脈麻酔でおこないます。手術時間は60分です。1/8万倍エピネフリン添加のリドカインを使用し、局部麻酔を併用します。エピネフリン添加により、止血効果、少量の局所麻酔薬での奏功による身体負担の軽減を図ることができます。15番メスまたは、電気メスを使用し、口腔粘膜を切離した後、オトガイ筋、口輪筋、下唇下制筋を明示、伸展、剥離しながら、下顎骨骨膜に至り、骨膜を切離した後、下顎周囲をde-glovingテクニックにより剥離し、オトガイ領域を露出します。
3. 骨切り
はじめに垂直方向の骨切りを行います。オトガイ幅径の減少量は、患者様との事前のカウンセリングによって決定していますが、通常20mm前後の骨削除量が必要です。ボーンソーを用いてバイコルチカルに全層骨切りを行います。レシプロソー、オシレーティングソー、サジタルソーを使用して、垂直方向に2線、骨切離を行います。超音波切削器具のピエゾサージェリーも併用します。次に中央骨片を切除するために、水平方向の骨切りを行います。骨切り線の上限は左右のオトガイ神経孔を目安とします。垂直方向である縦の2線の骨切りによって生じた中間層を中抜き骨片として摘出します。
4. 骨固定
骨片の固定は骨切離後におこなわず、骨にひびを入れた状態で骨切離を止め、仮止め用のチタンプレーティングをおこないます。バラバラになってしまった骨片は復位が困難なだけでなく、手術操作による粘膜骨膜弁の温存が妨げられる恐れがあります。粘膜骨膜弁が損傷すると、血液供給の妨げになり、骨炎、骨膜炎、骨髄炎を惹起し、骨壊死(Bone Necrosis)に至る場合もあります。そのための手術中の仮止め固定を実施しています。経皮的な観察を終えたら、左右の骨片を中央に寄せて、PLLAプレート、チタンミニプレート、マイクロセカンドプレートなどで固定します。両端の段差が生じた場合はピエゾ、ボーンソー、チゼル、骨ノミでトリミングをおこないます。
下顎角まで連続して段差処理としてのトリミングをおこなえば、下顎骨全周V-Line形成となります。
5. 縫合
術野は生理食塩水にて小さな削除骨片を洗浄します。筋層や粘膜側の止血は、ボスミンガーゼ、トラネキサム酸ガーゼを使用して止血をおこない、術野の止血の確認後、PDS、バイクリルなどの吸収糸を使用し、骨膜、筋層、粘膜の各層縫合をおこないます。口腔粘膜は手術直後より、会話、飲食など可動性に富んでいるため、粘膜の再表層は緩めの縫合にして、可動時の規制がないよう(引き攣れ感の緩和)工夫をしています。
6. 術後
1時間ほどご休憩いただき、問題がなければご帰宅を頂けます。
手術中の写真
V-line形成 - スクエアボックス骨切り術
スクエアボックス骨切り術のPOINT
- 垂直骨切り術は、顎(アゴ)を細くするだけではなく、顎(アゴ)の幅の減少・左右非対称、長さの短縮もできる施術です。
- 顎(アゴ)の骨を垂直骨切りし、その骨片切除により顎(アゴ)の形態を整える施術です。
- 単独あるいは水平骨切り術と同時におこないます。
- 顎(アゴ)の幅を8ミリ~15ミリ細くすることが可能です。
- 輪郭形成術の中でもVライン形成術として希望をする方が増えている施術です。
- 下顎全体が細くなり、小顔効果がはっきりと現れる施術です。
- 顎先を細くするには非常に難しく高度な技術を要しますので、行なっているクリニックがほとんど無いのが現状です。
スクエアボックス骨切り術の流れ
1. デザイン
下顎の形態、長さ、幅や、かみ合わせ、歯の状態を診察し、顎先の幅よせ、オトガイの延長に必要な切除範囲を決定します。
骨切りラインの設定として、下方に移動する骨片の大きさは、患者様の希望される顎の長さ、細さによって決定しますが、下方に移動させ、骨片の力で軟組織を伸展させた際に、手術後に起こる骨膜吸収と軟組織の圧迫吸収に抵抗する大きさが必要となるので、その点を考慮し、骨切りラインの設定をおこないます。
2. 麻酔および切開・剥離
手術は全身麻酔あるいは静脈麻酔でおこないます。手術時間は60分です。1/8万倍エピネフリン添加のリドカインを使用し、局部麻酔を併用します。15番メスまたは、電気メスを使用し、口腔粘膜を切離した後、オトガイ筋、口輪筋、下唇下制筋を明示しながら、下顎骨骨膜に至り、骨膜を切離した後、下顎周囲をde-glovingテクニックにより剥離し、オトガイ領域を露出します。
3. 骨切り
設定線に沿って、ボーンソウを使用します。サジタルソウまたはレシプロソウをオトガイ先端部分に設定した骨切りラインに挿入。スクエア(ボックス型)の骨切離は舌側の粘膜や、舌骨上筋群を下顎骨骨膜下に剥離、展開しておけば、さほど難しいものではない。舌側粘膜、骨膜を温存し、同組織によって血液栄養供給を受ける可動化した骨片を、下方向にスライドさせて、仮止め固定をおこない、延長量の適否を判断するために経皮的な観察をおこなう。
患者様のご希望に沿った形態が得られたならば、チタンプレートや吸収性ポリ乳酸プレート(PLLA)、またはチタン製ラグスクリューで固定をおこなう。ここで、延長に伴う死腔(デッドスペース)は術後感染を継発する恐れがあり、カンファークリニックでは、手術中の骨砕片を利用し、自家骨移植(フリーグラフト)を併用している。または、ハイドロキシアパタイトやTCP顆粒を使用することもできる。このフリーグラフトにより、延長骨の安定化、手術後感染の軽減、骨片の固定の容易性を得ることができる。患者様の希望により、V-Lineのような形態を望む場合には延長させた骨片の先端骨をテーパリング処理(三角形の形態)して、形態を整えている。
4. 縫合
術野は生理食塩水にて小さな削除骨片を洗浄します。筋層や粘膜側の止血は、ボスミンガーゼ、トラネキサム酸ガーゼを使用して止血をおこない、術野の止血の確認後、PDS、バイクリルなどの吸収糸を使用し、骨膜、筋層、粘膜の各層縫合をおこないます。口腔粘膜は手術直後より、会話、飲食など可動性に富んでいるため、粘膜の再表層は緩めの縫合にして、可動時の規制がないよう(引き攣れ感の緩和)工夫をしています。
5. 術後
1時間ほどご休憩いただき、問題がなければご帰宅を頂けます。