顎のお悩み改善
【V-line形成(結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術)】
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V-line形成(結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術)とは
本術式はオトガイ幅径を減少させ、正貌における顎のシャープさ形成するために適応します。下顎骨の形態は下方から観察すると馬蹄形であり、顎先先端部の水平部分の幅は個人差があります。水平方向と前後方向の曲がり角にあたる部分に小さな骨の隆起があり、この隆起がオトガイ結節です。下顎骨オトガイ結節は左右に存在する隆起です。この張り出しが強いと顔立ちが男性的となり、顎の存在感が大きくなります。
女性の場合、男性的な顔立ちとなり、コンプレックスの原因となります。オトガイ結節の幅は顔面のバランスにとても大切です。眼裂、鼻翼、口角などの位置関係によって、男性的、女性的な印象、フェイスラインが変わります。顔の各パーツとのバランスが重要です。
オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術について
手術ではオトガイ結節を斜めに骨切り、骨切除をおこない、余剰な結節の除去、オトガイ結節の縮小、オトガイ幅径、高さ、左右差の調整をおこなうことによって、シャープな顎先、すっきりとした印象の顔立ち、バランスを整えることができます。オトガイ結節の切除による、下顎骨形態とのバランス、段差調整としてのトリミング調整は、下顎角(エラ)付近まで延長する場合もあります。
オトガイ結節の前方、下方への張り出しや皮質骨の厚み、左右差、長さを調整することができるためすっきりとした、重みのない顎に仕上がります。咬合や歯列弓形態に合わせることも大切です。また、口腔底の筋肉の処理など、手術後の縫合はたるみが出ないように工夫をする必要があります。
下顎の大きさや骨皮質の厚み、海綿骨の厚みによっては、前方V-line形成術を併用する場合があります。
オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術のポイント |
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オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術がおすすめの方
- 顎先の幅が気になる
- 顎をシャープにしたい
- 顎先が重たい
- 梅干しじわがある
- 顎先と口もとのバランスが悪い
斜骨切り術手術手技のPOINT
- 切開、剥離は水平骨切りと同じです。下顎骨下端で最小限に筋肉を剥離し、先端切除後にも筋肉は離断されないよう注意します。
- 顎の骨削りは、水平方向ではなく、両端は下顎骨のラインに自然に移行するようにデザインします。
- 水平方向の骨切りだけでは横幅の広い大きなオトガイとなるため絶対に避けなければなりません。
- 骨削りは、オトガイ神経を超えてエラ方向に向かうナチュラルカーブメソッドをおこないます。
- 本術式は水平骨切りに比べて、オトガイ神経に負担が少なく、術直後より患者様の違和感(知覚)が小さいのが特徴です。
- オトガイ部の下端で、オトガイ結節を斜めに骨切りをすることによって、オトガイ横幅を減少させ、細い顎を形成します。下顎骨の形態によって骨切りラインが下顎角(エラ)付近まで延びることもあります。
オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術の概要
施術時間 | 約60分 |
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治療期間 | 日帰り |
麻酔 | 全身麻酔または静脈麻酔 |
ダウンタイム | 大まかな腫れや内出血が引いてくるまでに、2~3週間程度です。 組織が完全に落ち着くまでは3ヶ月~6ヶ月程度です。 ※いずれも個人差があります。 |
費用 | 800,000円(税抜) |
オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術で期待できる効果
- 歯列弓、咬合、歯軸方向に合った顎先に解消され顔全体がすっきりした印象になる
- 目頭、小鼻、口角とのバランスを重視し、余分なオトガイ結節を取り除き、顎周囲の形態を整えることで、すっきりとした口もとになる
- 重たい顎から、シャープな顎先になることで、女性らしい顔立ちに変化する
- 横顔の美しさとして、額、鼻先、顎先にかけてのラインが整う
オトガイ結節切除術、下顎骨下端斜骨切り形成術の流れ
オトガイの骨の裏側には首につながる筋肉(顎二腹筋、顎舌骨筋)が多数くっついているため、先端で骨を切除する際にこれらの筋肉の付着に注意します。これら筋肉を切離してしまうと、手術後に顎のたるみ、二重顎が気になる可能性があります。
本術式の利点は、手技が簡単で、手術侵襲が小さく、早期に回復することです。但しオトガイ神経の外側まで範囲を広げて削骨を行わないと、オトガイ横幅が大きくなり、大きい顎が形成されてしまいます。手術範囲は水平骨切りと同様です。
1. デザイン
手術によって切除するオトガイ結節の幅や高さ、左右のずれを判断し、切除範囲を決定します。眼裂(内眼角、目頭)、鼻翼(小鼻)、口角の位置関係のバランスをもとに、オトガイ結節の隆起の程度や皮質骨の厚み、骨髄の状態や下顎神経の走行に留意してデザインをおこないます。
2. 麻酔・切開、剥離
手術は全身麻酔あるいは静脈麻酔でおこないます。手術時間は60分です。歯科用1/8万倍エピネフリン添加のリドカインカートリッジ8mlを使用し、局部麻酔も併用します。エピネフリンの作用により、局所麻酔薬の使用量が抑えられ、また、血管収縮効果により、出血の抑制並びに適正な術野の確保を得ることができます。15番メスまたは、ellman社製電気メスを使用し、口腔粘膜を切離した後、オトガイ筋、口輪筋、下唇下制筋を明示しながら、下顎骨骨膜に至ります。下顎骨下縁で骨切りに必要な術野を展開します。骨膜はメスを用いて切離した後、下顎周囲をde-glovingテクニックをもって、鈍的に一塊の剥離をおこない、オトガイ領域を露出します。下顎骨下縁まで必要な術野を展開します。最小限の切開と剥離をおこないますが、周囲筋肉の剥離は最小限にとどめつつ、骨切りに際して軟組織の損傷のない範囲で十分な術野の展開と確保をおこないます。展開後の術野の確保には細谷金鈎が有用です。剥離は、たるみ防止の観点から骨切離、骨切除に必要な範囲にとどめます。
3. 削骨と骨切離と骨切除
デザインした部位を切削エンジンまたは、超音波切削器具を使用して削骨や骨切離、骨切除をおこないます。はじめにオトガイの中心線のレベリングをおこないます。正中のずれは、このレベリング処理が基準点となり、正中から後方に向けて切除ラインを決定します。オトガイ孔下方はオトガイ神経の伸展とオトガイ神経を3本ないし、5本程度の神経線維に剥離、伸展したのち、神経孔周囲軟組織をトンネル状の剥離をおこないます。オトガイ孔より後方を一部はブラインドにて、レシプロケーティングソウを挿入し、骨切りを開始します。
患者様のご希望に準じて、正中までの距離は決定しますが、長い場合は、正中から100mm以上後方に向かいます。オトガイ神経孔、下歯槽神経の走行は術前検査で把握をしているので、セーフティーマージンを見込んだ、オトガイ孔下方の骨切りを決定します。神経損傷のリスクを冒す必要はありませんが、患者様の希望を度外視して、平均値を目安に手術をおこなうと、患者様のご希望の通りに結果が得られませんので、術前のCTやセファログラム、オルソパントモを参考にして、切除範囲を決定すべきです。
4. 調整
残存骨と適合するように調整します。下顎骨下縁の形状によりますが、切除範囲、トリミングは下顎角付近まで骨切りをおこない、スムースにする場合もあります。同時に短縮手術を行う場合には、オトガイ先端を削合するか、水平骨切りをおこない、中抜きを併用します。
削骨の両端はステップを生じないよう、トリミングをおこない、下顎骨のラインに自然に移行させます。手術の仕上げとなる段差や左右差を生じさせないために、重要なステップです。経皮的な観察をおこなったのち、術野を生理食塩水で洗浄します。いわゆる骨の削りかす、粉砕骨片があると感染の原因になります。
骨からの出血を認める場合は、骨ノミ、骨蝋、ハイドロキシアパタイト、TCP製剤を使用します。軟部組織からの出血に対しては、血管結紮、電気メスによる焼成、ブラウジング様の出血に対しては、ボスミンガーゼ、トラネキサム酸ガーゼを使用して止血し、止血確認後、縫合をおこないます。
5. 縫合
削骨、骨切離、骨切除による口腔底や頸部、口唇周囲筋や靭帯のひきつれを防止するために、拘縮縫合をおこなうこともあります。骨膜、筋層、口腔粘膜の各層縫合はPDS、バイクリル、モノクリルなどの吸収糸で縫い合わせて手術を終了します。日帰り手術ですので、口腔粘膜は手術直後から会話、飲食など可動するため、粘膜の再表層は緩めの縫合にして、可動時の規制がないよう(引き攣れ感の緩和)工夫をしています。
6. 術後
1時間ほどご休憩いただき、問題がなければご帰宅を頂けます。
手術中の写真
手術後について
創部の圧迫 | 手術日の翌日までテーピング圧迫をおこないます。手術日の翌日にご自身で除去して頂きます。 |
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術後の通院 | 定期的な通院は不要です。患者様のご希望により、診察をしております。 |
抜糸 | 溶ける糸を使用します。手術後1か月ほどで自然になくなりますので、ご来院は不要です。 |
洗顔 | 圧迫用テーピング部位以外は当日より可能です。 |
入浴 | 軽めの入浴は当日から可能です。シャワーも当日から可能です。 |
メイク | テーピング除去後、手術の翌日から可能です。 |
その他 | 手術後7日間は、喫煙をお控えください。 |