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矯正治療後の後戻りと保定

保定とは、矯正治療によって移動させた歯と顎の位置を、その位置で動かなくするために動いた部分の組織との調和をを図る処置のことです。

保定を成功させるためには、1本1本の歯の安定ばかりでなく、歯並びやかみ合わせさらには上下のあごの骨の位置から決まる、顎の顎間関係が安定できる条件を整えなければなりません。
すなわち、歯や歯周組織の調和を図るだけでなく、口の中の組織や顎の関節との調和、上下の歯が噛んだ時の当たり方やかみ合わせた時にかかる応力の分散、あごと顔の成長発育を誘導することをも考慮することが重要であると考えています。
そのためには、一度治療した状態が生涯にわたって安定したかみ合わせが得られるような治療計画を立案することが重要であると考えています。

後戻りの要因

(1)歯周組織

歯の移動により歯槽骨、歯根膜、歯周組織は改造されており、安定するまでには数年の時間がかかります。安定するまでの線維の弾性力が後戻りの原因となります。

(2)口腔周囲組織

歯の位置や歯列の形態は、頬・口唇・舌による機能圧の均衡によって保たれています。矯正治療後の歯は新たな咬合状態の中で不安定な位置にあり、軟組織からの圧力、すなわち口腔内圧と口腔外圧との不調和が再発をもたらす要因として作用します。

(3)咬合

適正な咬合が得られていれば、個々の歯が保定的役割を果たします。機能的咬合関係が得られていない場合や早期接触の存在により、咬合力は歯や顎骨を不正な位置に移動させる力として作用します。そのため、咬合調整が必要となることがあります。

(4)成長

矯正治療の終了後に骨が成長する場合、顎骨の位置は変化し、歯列・咬合にも影響を与えます。上下顎骨の成長発育のアンバランスや思春期以降の成長変化が骨格系の不調和をさらに悪化させることがあります。治療後に残存した成長量は患者の年齢、性別、相対的な成熟度と関連します。

再発防止策

(1)オーバーコレクション

矯正治療後の後戻りを予想して、適正な位置をやや越えた位置に歯や顎骨を移動しておくことがあります。

(2)筋機能療法

口唇の力が弱い場合や舌癖がある場合など、口腔周囲筋の不調和が口腔内圧と口腔外圧との不均衡をもたらし再発を招くため、保定前あるいは保定装置終了前に筋機能訓練や不良習癖の除去を目的に行います。

(3)咬合調整

隣接面部の削合により上下の歯の大きさの調和を図ったり、早期接触部の削合を行い、緊密な咬合を得るために咬合調整を行うことがあります。

(4)長期保定

移動距離が大きかった場合や治療後も成長が残っている症例では、長期間の保定を行うとことがあります。

(5)永久保定

長期の保定を行っても再発が予想される場合、歯周病などで歯列の安定が図れない場合など、被せ物を用いて保定を行うことがあります。その際、個々の歯の歯周組織に対して、咬合力の分散が均等に行われるようすることが重要となります。