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おしゃぶりと歯並び

おしゃぶりと歯並びの関係

長期的なおしゃぶり使用は噛み合せに大きな影響を及ぼします

最近「おしゃぶりは舌や顎の発達を助けて鼻呼吸を促す」という宣伝文句やフォルダーを付けたファッション性が受けてか、乳幼児におしゃぶりを与えている親が多いですね。
また乳児が泣いたときに泣き止ます手段としておしゃぶりを使用している母親をよく見かけます。

小児歯科学的には、指しゃぶりほどではないが、おしゃぶりを長期に使用すると乳歯の噛み合わせに悪影響を与えると考えています。子どもを育てる母親からみると便利な育児用品でもありますが。

小児科医は、胎児も母体内で指しゃぶりしているので、乳児の指しゃぶりは自然の行為であり、それに代わるおしゃぶり行為も当然と理解しておられ、そして言葉を話すようになると自然に取れることが多いので、それほど問題にしていないようです。こんな背景からおしゃぶりの使用について小児保健の現場で混乱が生じているのも事実です。

おしゃぶり、指しゃぶりが咬合(噛み合わせ)に及ぼす影響

指しゃぶりと乳前歯部開咬について調査が行われ、おしゃぶりするお子様は指しゃぶりをするお子様より軽度ではあるが、年齢が高くなるまで長期に使用すると乳前歯部が開咬となりやすいという結果を得ていています。いずれの調査もおしゃぶりを長期に使用すると噛み合わせに悪い影響を与えることが証明されています。

おしゃぶりや指しゃぶりは何歳ころまで行われているか

「年齢別にみた各種吸啜行動の発現率」によると、おしゃぶりの使用は3歳になると急激に減少し、これに対し指しゃぶりは4歳頃まで行われている報告があります。

おしゃぶりの使用年齢と噛み合わせ

おしゃぶりを使用している子どもは、使用していない小児と比較して上顎前突、開咬および乳臼歯交叉咬合の発現率が極めて高いと報告されています。
この傾向は1歳6か月、2歳でも見られるが、止めると噛み合わせの異常は改善しやすいと考えられています。しかし、乳臼歯が生え揃う2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまいます。小児歯科の立場からすると2歳までに止めて欲しいと言われていますが、現状では3歳過ぎまで使い続けている子どももいらっしゃいます。

おしゃぶりの利点と欠点

一般的に言われている歩き始めから2歳過ぎまでのおしゃぶり使用の利点と欠点です。

利点としては精神的安定、簡単に泣き止む、静かになる、入眠がスムース、母親の子育てのストレスが減るなどが挙げられます。おしゃぶりの宣伝に使用されている「鼻呼吸や舌や顎の発達を促進する」は現時点では学問的に検証されていません。

欠点としては習慣性となりやすく、長期間使用すると噛み合わせが悪くなる、子どもがどうして泣いているのかを考えないで使用する、あやすのが減る、ことば掛けが減る、ふれあいが減る、発語の機会が減るなどが挙げられます。

噛み合わせの異常は2歳頃までに使用を中止すれば発育とともに改善される。従っておしゃぶりの害は乳臼歯が生え揃い、開咬や乳臼歯交差咬合などの噛み合わせの異常が存続しやすくなる2歳半から3歳過ぎになっても使用している場合と言えます。

おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよいですが、メリットもあるので使用したいお母様も多いでしょう。もし使用するなら咬合の異常を防ぐために、次の点に留意しましょう。

(1)発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。
(2)遅くとも2歳半までに使用を中止するようにする。
(3)おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。
(4)おしゃぶりだけでなく指しゃぶりも習慣づけないようにするには、(3)の方法を行う。
(5)4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮してかかりつけの小児科医に相談することを勧める。