子供の叢生(そうせい=乱杭歯)
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永久歯列期になる前の叢生(そうせい=乱杭歯)
症状
歯科矯正学の専門用語では叢生(そうせい)といって、一般的な言葉では"乱杭歯"といわれている凸凹のある歯並びです。
永久歯列期になる前の場合は出っ歯や反対咬合の兆候が見られても、経過に注意を払いながら叢生として治療することになります。この症状は、基本的に顎の大きさに対して、歯のサイズが大きい人によく見られる症状で、たとえて言えば3人掛けの椅子に4人や5人が無理矢理座ろうとしている状態です。
この状態が長く続くと、見た目が悪いだけでなく、歯のお掃除がうまくできないため、子供のうちは虫歯になりやすく、大人になってからは歯周病にかかりやすくなり、だんだん歯や噛み合わせの状態が悪くなってしまいます。
顎の骨の大きさと形、歯の大きさはほとんど遺伝的に決められていますので、この傾向が発現してきたら自然に治ることはまずありません。永久歯が生えてくればくるほど、ますます窮屈になって凸凹がひどくなることがほとんどです。とくに6歳臼歯(前から6番目の歯)より前の部分で最後に生えてくる永久歯が一番隙間が足りない状況で生えてくるため、外側や内側に大きくはずれてしまいます。
この状況が典型的に現れるのが上の糸切り歯(犬歯:3番目の歯)で、飛び出した糸切り歯を"八重歯"とか"鬼歯"とか俗に言います。日本では昔は八重歯がかわいいなどといっていましたが、欧米では"八重歯"はドラキュラの象徴として忌み嫌われています。
問題の解決方法
この症状は程度により、成長期においては顎の骨を少し矯正器具で拡大することにより、隙間を増やして解決することもありますが、何でも拡大さえすれば良いという問題ではないのです。十分に考慮せずに拡大だけに頼ると、たいていの場合隙間を十分に獲得することができなかったり、無理な拡大により口元が突出してしまったり、急に後戻りしたりと診断がなかなか難しいのです。
顎の拡大で解決できないと判断した場合は、全部大人の歯に生え替わるのを待って、その後きちんとした矯正の検査診断をした上で、歯の本数を調節して隙間を作り矯正で歯を再配置する治療をします。
永久歯列期になる前に拡大をすべきか?
このまま様子をみて永久歯列期になってからまとめて解決するかはよく考えて診断しないと手遅れになったり、不必要な費用と時間をかけることになったりするので、矯正歯科専門医とよく相談して決めた方がよいでしょう。
また、本人や親御さんが単なる凸凹の歯並びと考えていても、実はほかにも重大な症状が隠れていることもあります。ちゃんとした矯正の専門医は、決して患者さんをあおるような初診相談はしません。きちんと理由を説明して早く始めた方がいいのか、もっと大人になってからでも遅くはないのか判断してくれるはずです。
手遅れになる前に専門医を受診されることをおすすめします。相談の結果 、今すぐ治療する必要がなかったとしても、今の状態がはっきりわかっただけでも充分相談した価値があると思います。